最近、机に向かってメールを書いたり、動画の解析をしたりすることが多いので、音楽を聴きながら作業しています。最初は林原めぐみさんやさだまさしさんの曲を聴いていたのですが、ちょっとしたことがきっかけで、最近はニコニコ動画の歌い手さんたちの唄う歌を聴きながら仕事をしています。
ニコニコ動画内での有名無名を問わず様々な人の歌を聴いていますが、そんな中のお一人、(V)・∀・(V)かにぱん。さんのインタビュー記事
http://bachelors.moura.jp/?p=862
から引用。
> 編:今後どういうふうに活動していきますか?
> (V)・∀・(V) :何をするかは分からないですけど、面白そうで自分が損をするような企画だったら乗ります。私、得をしたくないんですよ。だから、お金が出る話はあんまり乗りたくないですね。
良く穿った見方をして「なんか利益が出るの期待してるんじゃないの?」なんていうことをいう人もいますが、趣味でやっている人は「好き」だからやっているので「自分が得する」っていうことに興味がないのです。私の場合は芸術的才能がない酒呑みなのでニコニコ動画になんか上げるっていうことはないのですが。私の場合はやっぱり本格焼酎でしょうか。好きで本格焼酎の良さをみんなに知って欲しいからサイトを作ったり、コミュニティをやったりしているわけで、そこで何か利益が出ることを期待しているからではないのです。
(V)・∀・(V)かにぱん。さんのインタビューに
> 編:聞いてくれている人たちにはどんな感想をもっています?
> (V)・∀・(V) :すっごい嬉しいです。嬉しいですけど、何でそんなにファンになってくれているのか分からないというのもあります。どうしてこんなに好きになってくれるんだろうって。とても嬉しいんですけどね。
※http://bachelors.moura.jp/?p=862から引用
という一節がありますが、たぶん趣味でやっている人たちは、みんな同じ事を思っていると思うのです。私もやっぱり私のサイトで本格焼酎にはまったとか見始めた頃に勉強させてもらいました、とかという話を聞くと単純に嬉しいのです。嬉しいんですけどもっと判りやすい解説書はたくさんあるし、きっと実際には焼酎にはまったのは私のサイトが理由ではなくて焼酎そのものに魅力があるんだから私のサイトが理由ではないのにって思う自分がいるのも事実。そういう意味で複雑な思いがしたりします。
そして少し話題は変わりつつも同じく(V)・∀・(V)かにぱん。さんの今度はBLOG
http://blog.livedoor.jp/kani_pan_666/archives/51402248.html
から。
> 歌いたい歌を歌いたいときに歌う、着たい服を着たいときに着る。
> どちらもこんなに幸せなことはないんだよ?みんなそれに気づくべき。
これも本当に共感出来る一節です。
学生時代のことですが、母校の東洋大は哲学館が母体の大学だけあって哲学の科目が一般教養科目や他学部開放科目に哲学の講義がこれでもか、というくらい詰められていました。いまはどうだか判らないですが、私がいた頃は同じ般教の哲学でも担当教員によってかなり細かく違いが設定されていたと記憶しています。そして所属していたゼミの恩師は「せっかく哲学を底流にする大学へ来たんだから哲学の授業は絶対に受けるべき」ということでもぐり(爆)も含めていくつかの哲学系講義を受講しました。そのうちの一つに日本の哲学と宗教を扱った講義があって、誰だったかまではおぼえていないですが(爆)、その講義の担当教員がこんなことを話していました。
「為したいことを為して成す」
彼曰くこれを人々に解いて回ったのは親鸞だ、とのことでした。ここでいう「成す」は確か浄土への成仏だったという解説もしていたと記憶していますがあやふやです。この言葉の解説として、その教員は「為したいことを為して成す、というのは、実は簡単なようでそうではない。周りを取り巻く環境や立場などによって簡単そうに見えるこのことが最も難しい。」と話しました。そして「為したいことを為していくことが出来るのは仏の導きによるものでそれが出来れば~」みたいな仏教哲学(ここでは浄土真宗の哲学)が解説されていくのですが、この解説に当時の私は衝撃を受けたのを憶えています。確かに「為したいことを為して成す」のは難しい。なんで難しいのかということも良く判る。私自身、こうのほほーんと生活していますが、ご存じの方はご存じですけど、こうなるまでにもう本当に公私ともに色々な経験をしてきています。それが理由というわけでもないのですが、この言葉にがつんと来た次第です。それで私の中でこの言葉を消化しようとして至った結論が「得にならないことをするから好きなんだ」ということです。きっとやりたいのに出来ないのは「利益」を考えるからです。もちろん生活していくにはお金が必要ですからそうした部分は大事なのですが、少なくとも趣味の部分は「利益」を度外視して好きなことのためにはあえて得にならないことをしようと思い至りました。
そして話は冒頭に戻っていくわけです。(V)・∀・(V)かにぱん。さんの哲学に触れて昔を思い出しながら書いていたら長くなってしまいました。
かなわぬこととは思いますが、(V)・∀・(V)かにぱん。さんとは一度お逢いして話をしてみたいですね。そう思うくらい今回のBLOG記事・インタビュー記事ともに深いものを感じました。